渋谷区立松涛美術館【渋谷区松濤2ー14ー14】
設計:白井晟一研究所
竣工年:1980年(昭和55)5月8日
Photo:2022年1月
白井晟一は、1905年(明治38)に京都で生まれ、京都高等工芸学校(現、京都工芸繊維大学)図案科卒業後、ドイツで哲学を学ぶ経歴をもつ建築家です。義兄の画家近藤浩一路の自邸の設計を手掛けたことを契機に独学で建築家の道に進むことになりました。
代表作としては、渋谷区立松濤美術館、NOAビル、親和銀行本店などがあり、そのユニークなスタイルから哲学の建築家などとも言われています。
美術館正面
赤みを帯びた花崗岩は、韓国から輸入し白井が「紅雲石」と命名。当初は、国産の「恵那錆石」を使用する予定だったが、白井のこだわりにより変更しました。
正面上部のライト。
ランダムに配置されているという説明がありましたが、波を打っているようにも見えます。
左手にある楕円形窓。
インフォメーションとしての利用が想定されていたそうですが、使われていないそうです。
右手の蛇口
群馬県前橋市に白井の設計である書店「煥乎堂」と同じものだそうです。しかし、当初の摂設計にはなく、なぜ追加されたのか不明だそうです。
エントランス
上は、薄く切ったオニキスの石材をガラスに挟み、後ろから照明で照らしています。
ブリッジ
通常は、閉鎖されていますが、この展覧会だけは、公開されています。
入り口に向かって。
見下ろすと噴水。
見上げると空。
ロビー
楕円形の窓から小さな庭が見えます。
ちょっと、お寺の丸窓のような感じです。
螺旋階段(大)
いかにもこだわった造りの階段です。
地下1階に降ると第1展示室です。
第1展示室。
1階と吹き抜けになっています。
通常、展示室は立方体の形になのですが、ここは楕円形の部屋でなかなか珍しい構造です。
噴水側の窓は、通常は閉めていますが、この時は開けています。
螺旋階段(小)
さらに降りて地下2階の茶室へ
茶室
初公開の茶室。
水屋を備え、炉が切ってあるなど茶室しても利用できる和室ですが、茶室としては使われたことがなかったそうです。
床の間にある書「危座」は、白井が書いたものです。
2階に上がって第2展示室。
第2展示室
第1展示室とほぼ同じ広さです。
実際には、見えている部分はサロンミューゼ、奥の半円の扉の特別陳列室に分かれています。
竣工当初、白井はこの部屋に展示の効果を試すために、自分の書や美術品を飾っていたそうです。
木製の梁や柱などで、落ち着いた邸宅のような感じなっています。
それになぞらえて、白井の書や愛蔵品を展示しています。
2階から見下ろしたブリッジ。
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