パビリオン・トウキョウ2021━其之壱━からの続き
日曜日のこと。
気付いたら、パビリオン・トウキョウ2021の終了まで2週間になっているのに、まだ1つしか訪れていないので、とりあえず4箇所行ってきました。
木陰雲<石上純也>
「九段下に昭和2年、実業家の山口萬吉によって建てられた古い邸宅がある。設計には東京タワーの構造計画をおこなった内藤多仲も関わっている。この邸宅の美しい古い庭に2021年の夏期限定で、日差しを柔らかく遮る日除けを計画する。
新しく計画されるの日除けが、歴史ある風景に溶け込むように、新築であるにも関わらず、はじめから古さを含み持つようにと考えた。具体的には、木造の柱と屋根を庭いっぱいに計画し、その構造体を焼き杉の技術を用いて焼いていく。様々に火力を調整しながら、杉の表面を短歌させ、場所によっては構造体そのものを焼き切る。庭に広がる木の構造体が、既存の庭に生い茂る老木を避けるように、焼かれながらしなやかに形状が整えられていく。炎で炭化した真っ黒の構造体は、廃墟のような趣もある。新築から廃墟の状態に、瞬時に駆け抜け変化したようでもあり、建築が経年によって得られる移り変わりを一気に獲得したかのようだ。
昭和初期の時代にはまだ存在していなかった周りの高層建築を黒い構造体が覆い隠し、構造体に開けられた無数の穴からの無数の光の粒が、樹木からの木漏れ日と混ざり合う。樹木の間から覗く現代の風景は消え去り、夏の強い日差しは和らぎ、訪れる人々はこの庭のなかに流れる古い時間とともに過ごす。真っ黒の構造体は、夏の午後に老木の間を漂う涼し気な影である。」(石上純也)
今回は、庭だけの一般公開になりましたが、靖国神社の近くにこんな立派な建築があることを初めて知りました。
建物の写真は、撮るの忘れました。
新しく作ったのに、古くからあるように思える不思議な感じ。
所々の孔から見える空。
構造体を支える土台も植物に隠れたり、コンクリート塊が違和感なくあります。
前からあったような自然な感じです。
いつか山口邸もじっくりと見てみたいです。
東京城<会田誠>
「強調したいのは恒久性とは真額の仮設性、頼りなさ、へチョコさ━しかしそれに頑張って耐えている健気な姿である。どうなるか、やってみなければわからない。一か八か作ってみるそれが現在の日本━東京に捧げたい」(会田誠)
会田誠はダンボールとフルーシートでできた2つの城を作りました。ダンボールとブルーシートは、非常に廉価であるにもかかわらず堅牢性を備えた頼もしい素材で、恒久性でなく仮性も象徴する点に、共通した特徴があり、会田は1995年から作品の素材に使用しています。このパビリオンは、2つの素材を使うことで何があっても容易に挫けない人間のしなやかな強さを示しています。また重たくて硬くて高額で恒久的な素材のみを使う現代彫刻などに対する批評性をはらんでいます。
本作が設置されている石塁は、かつて江戸城を支えていた石垣を用いて神宮外苑造営の際に建設されたもので、関東大震災のバラック建設の指揮官であり、小学校の鉄筋コンクリート化を推進した建築構造家・佐野利器が計画・建設したものです。その石塁の上にダンボールとブルーシートの城は、」東京からいまだ災害の爪痕が残る各地方への「共にがんばりましょう」というメッセージとなるでしょう。また、東京にいつの日か来るかもしれない大災害への覚悟を示すものでもあります。
神宮外苑いちょう並木のところにあります。
ダンボールの城の朽ちた感じがなんともいえない。
風雨によく耐えています。
ブルーシートの城は土台の石垣と一体となっています。
このあと、Global Bowlとストリートガーデンシアターにも行きました。
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