第一階段
建物の中央にある第一階段は、一階の客間から二階の家族の居室へ通じる階段です。それは、フランス仕立てのアール・デコの空間から日本のアール・デコの空間へ移行する階段ともいえます。
階段のステップ、腰壁、手摺りには外国製大理石のビアンコ・カラーラをはじめ3週類の大理石が用いられています。手摺りのデザインは、アール・デコの特徴であるジグザグのラインが強調され、二階広間の照明柱、天井照明はパターン化された花模様で統一されています。
二階広間
二階広間にはじまる家族の居住空間です。ラジエターレジスターは、日本の青海波が使われるなど、所々の要素が取り入れられています。壁面には、コテなどの道具による模様付けが均一に施され、左官職人による匠の技を見ることができます。
若宮寝室
建物二階東側の約3分の2を占めるのが若宮寝室・合の間・若宮居間の3室です。各部屋の照明は宮内省内匠寮技手の水谷正雄がデザインした国産品です。各部屋ごとに異なる衣装が凝らされており、朝香宮邸の見どころの一つといえます。この部屋の張り出した後には、竣工当時のサッシがそのまま残されています。
書斎
正方形の部屋の隅に飾り棚を設置することで、室内を円形状に仕上げています。シトロニエ材の付け柱が四方に配置され、ドーム型の天井と間接照明により求心的な空間が演出されています。この部屋の家具は室内と同様にアンリ・ラパンによってデザインされたものです。
終戦後の一時期、吉田茂がこの邸宅を外務大臣として使用された際には、この部屋が執務室となっています。
殿下居間
高さのあるヴォールト天井が空間に広がりをあたえ、ヒノキ材の付け柱、大理石の暖炉と鏡が落ち着いた雰囲気となっています。暖房機用のカバーのデザインには、アール・デコによく見られる噴水がモチーフとして使われています。壁紙とカーテンは、フランスのエデュアール・ベネディクタスがデザインしたもので、2014年に復元したものです。
殿下寝室
居間や書斎に比べると装飾が抑えられ、寝室にふさわしい落ち着いた雰囲気になっています。廊下、浴室、何度、居間に通じる4カ所の扉にはクスノキの玉杢が装飾として使用されています。
玉杢とは、樹木のオボのある面をスライスすると現れる大きな同心円形の模様のことをいいます。
第一浴室
殿下と妃殿下の寝室にあるこの浴室は、主にご夫妻が使用した浴室と言われており、他に姫宮用と若宮用がありました。床には山茶窯製陶所のモザイクタイル、壁にはフランス産の大理石「ヴェール・デストゥール」がブックマッチの技法で張られています。
予想外にボリュームがあったので、もう1回続きます。
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